99.5.9 やっちん

 プリウスを運転して1年以上が経ちました。テレビ朝日のインタビューにうまく答えられなかったこともあり(T_T)、ドライバー側からみてプリウスの運転をどう感じているのかをまとめてみようと思い立ちました。ここに書いたことは、あくまで私が自分のプリウスについて感じていることです。
 その後もプリウスの細部の改良が続いているという噂もあります(例えばブレーキの味付けが変わったという報告があります)ので、他のオーナーの方や試乗した方で、「自分はプリウスの運転感覚についてこう考える」というご意見があれば、是非お便り下さい。追加して記述します。

1.定速走行時

 このコーナーを作りたかった一番の理由は、プリウスが中高速で一定速度で運転しているときに、これほど静かで滑らかなクルマは他に存在しないのではないかと思える瞬間があるからです。ともかく、このクルマの滑らかな走りは、例えて言うならば「グライダーが大空を滑空していく」イメージや「鏡面の上をボールがころがっていく」といったイメージであり、不思議な感動を覚えるほどです。これまでのクルマとはまったく違う種類の乗り物にのっているような感覚です。
 考察すると、いくつかの要素があります。第一に、無段階変速機として機能する動力分割機構(遊星歯車)ですね。同じような無段階変速機としてCVTがありますが、私は乗ったことがないので同じレベルの滑らかさを実現しているのか分かりません。ともかくエンジン、モーターからの動力を無段階に変速してタイヤに伝えるこの機構は、すばらしい出来上がりです。
 第二に、細くて転がり抵抗の少ないタイヤも寄与しています。冬タイヤのスタッドレスから夏タイヤに替えたところ、タイヤの接地面で発生する騒音がかなり低くなり、走行時の滑らか感が増しました(少なくとも、そんな気がしました。)
 第三に、そして、きっと本当に一番重要な部分は、コンピュータプログラムなのだと思います。プリウスは、運転手からはアクセルとブレーキの踏み具合という情報だけが入力されるわけですが、その時の速度とバッテリーの残量に応じて、エンジンをどれくらい回転させるか、又は、モーターの出力をどれくらいにするか、は、プログラムで組むことになるわけです。ですから、一定の範囲内ではありますけど、極端に言えば、ちょっとアクセルを踏んだだけでターボーエンジンつきのクルマのようにドガンと発進させたりもできるし、逆に軽自動車のようにトロトロ動かすこともできるわけです。このプログラムで、中高速の定速走行時には、めちゃくちゃに滑らかなクルマとするという味付けを行っているのでしょう。

2.加速時及び減速時

 加速の感覚も、プリウスは、他のクルマとはだいぶ異なります。これは、モータのおかげです。ガソリンエンジンは回転数に応じてトルク(出力)があがっていくのに対して、モータは最初から最高出力がでます。このため、最初はモーターで発進するプリウスは、実は発進時にはかなり強い加速が可能なのです。私のところに寄せられたお便りの中には、信号グランプリ(信号が赤から青に変わった瞬間に出足を競うこと)で他のクルマに負けたことがないとまで豪語する人がいました。私は、それほどまでの運転はしていませんが、発進時に背中を押される加速感はあります。ちなみに、北海道の人からは、プリウスの発進時のトルクが強いため、凍結時にタイヤが空転しやすいという報告もありました。
 ただし、これはあくまで発進の瞬間の話であり、低速から中速までの加速が他のクルマに比べて格段によいかどうかは別問題です。

 減速時の感覚も異なります。これは、回生ブレーキ(クルマが動いている慣性エネルギーで発電して電池に蓄電する機構。発電時の負荷でかなり強い減速が可能になります。)のおかげです。初乗り体験には、「かっくんブレーキ」であることを書きましたが、油圧ブレーキと回生ブレーキの協調で、通常のクルマに比べて非常に強い制動が可能となっています。慣れの問題ですが、プリウスに乗り続けている人が他のクルマにのりプリウスと同じ調子でブレーキを踏むと、ブレーキが全く効かなくなったような恐怖感におそわれることがあるようです。それほど違うということです。

 なお、加速時及び減速時にモーターを回転させますが、この時に耳を澄ますと「ひゅーん」というモーター音が発生しているのが分かります。電車の運転手でプリウスのオーナーとなった方から、電車の加速時と減速時にも全く同じ音がしてうれしいというお便りをいただいたことがありますが、このモーター音も普通のクルマでは全く経験できないことの一つです。

3.停止時、低速時

 信号等で停止すると、エンジンがストップし、無音状態になるのも、プリウスの不思議な感覚のうちの一つです。また、市街地で狭い道などを低速で走ると、まったくエンジンがかからずにモーターだけの走行になることがあります。このときは、エンジン音が皆無なものですから、歩行者が気づいてくれないでヒヤヒヤすることもまれではありません。

4.上り坂、下り坂

 上り坂はプリウスにとって苦手科目の第一でしょう。やっぱり、バッテリーを80キロ程度積んでいることも含めて1.24トンの車体重量があることは、動力部が非力に感じざるを得ないと思います。通常の平地での定速走行では見えてこない弱点が見えますね。といっても、上り坂で加速を継続するのでなければ、十分実用レベルには達していることは明らかですが、パワーを背景にキビキビした走りをすることは期待できないという意味です。

 逆に、下り坂はプリウスの得意科目でしょう。ブレーキのききは鋭いし、重量のハンディはなくなるし、結構おもしろい走りをします。その上に、下り坂の場合は、ほとんどエンジンは止まり回生ブレーキだけが効いている状態になることも多く、燃費的には抜群の伸びを示します。

5.その他

 その他走りの感覚で気になる点とすれば、曲がりくねった道を走るときなど、ロール(横揺れ)が大きいことでしょう。
 これには、いくつかの理由が考えられます。一つは、セダン型のクルマにしては、全高が1500ミリとかなり高い部類に入りますので、地上高がかなりある運転席で感じると、他の低い車高のクルマでは少ししか感じられないロールが増幅されて感じるという点があると思います。しかし、より大きな理由としては、タイヤの弱さを指摘する声が多いようです。新開発の省エネ型タイヤですが、サイドウォールの剛性が弱いという指摘がありますし、タイヤバースト事故が何件か報告されています。この点はさらに改良が必要だと思います。
 
 この点を改良する意味も込めて、クルマをローダウン(いわゆる車高短)しているユーザーもいます。また、タイヤのインチアップ(ホイールを大口径に変えてその代わりタイヤを扁平で薄いものにして全体でサイズを同じものにすること)により、安定感を出そうとしているユーザもいます。ただし、その場合は少し燃費は犠牲になると思われます。

※ 発売当初の標準タイヤのブリジストンは、上記のようにあまり評判はよくなかったのですが、その後他のタイヤも採用されて、上記5の点は少しだけ改善されたようです。